SHCスポーツビジネスマスターコースOBOGインタビューVol.5_鈴木郁恵氏/(株) 株式会社フットボールクラブ水戸ホーリーホック 経営企画室(総務執行役員 兼 営業部部長)

業界の最前線で活躍しているOBOGに、「コースでの学び」や「未来の受講生に一言メッセージ」などを聞き、本コースの魅力を発信していきます。

 

五人目は、水戸ホーリーホックで長く働く中で、自己の成長や新しい知識、学びの機会を探し、SHCを受講され、現在は、クラブ内のあらゆる方向性を決定する経営企画室や各部署のマネジメントにおいてご活躍されている、鈴木郁恵さんです。

 

 

 

Q 現在の仕事内容について、教えてください。

常勤取締役・執行役員で構成する経営企画室内で、クラブ内の様々な事象について議論し、方向性を決定、その内容を各部署に伝達すること、また経営企画室でリードする事業の推進を行っている。また、営業部営業・営業部ホームタウン・総務経理を管轄しており、各部署のマネジメント、内部外部調整、メンバーからの意見の聴取・伝達、他部署との連携、自分自身でも営業部のメンバーとして営業活動を行っている。

 

水戸ホーリーホックのクラブの姿勢としては、二軸あり、一つ目は、経営視点より経営規模を大きくしていきたいと考えている。昨年で約8億円、今年で約9億円を見込んでいるが、J2平均約16億円規模からは乖離がある。完全に経営規模=成績ではないけれども、一定の相関関係があると言われており、少しでも経営規模を大きくし、チームの強化や、それ以外のチームを支える部署に分配できるような形にしていきたい。そのような状況において、現在の収益構造(広告料収入、入場料収入、Jリーグからの分配金、物販収入、アカデミー収入など)の広告料収入以外はアッパーがあると考えており、農事業「GRASS ROOTS FARM」のように、新しい事業を増やすことで他の収入の柱も作っていきたい。

 

二つ目は、地域に根ざしたクラブとして、2020年コロナ禍の際、試合が開催できなくなり、クラブ運営が難しくなった時、地域に支えていただき、なんとか乗り越えることができた。水戸ホーリーホックが地域にあるからこそできる、地域への恩返しをしていきたい。

新しい事業が地域の課題解決や、地域の役に立つようになる。そういうクラブを目指していきたい。

 

Q 現在の仕事の魅力/やりがいについて、教えてください。

地域の発展に貢献出来得る存在であるJクラブの中で、クラブがプラットフォームとなって様々な事業が生まれていくこと、引いては地域の課題解決や魅力創出、地域経済の活性化、人材の活用等に繋がっていくことに魅力を感じている。

 

「水戸の街を盛り上げる」という抽象的なものだけでなく、「実を伴うもの」、例えば、金銭的な貢献・事業的な貢献・実績的な貢献を地域の皆様に還元できることが一番のやりがい。現在、経営企画室の一員ということで、クラブ全体の進む方向性に提言でき、また長く働いているゆえに全体感を把握できているため、「地域の経済を回す」事業を起こし得る立場・視点でやりがいを感じながら働いている。

 

 

Q なぜ『SHCスポーツビジネスマスターコース』を受講されましたか?

水戸ホーリーホックで長く働かせていただいている中で、自分のクラブに留まると得られない新しい考えやネットワークを得ようと、毎年様々なチャレンジをしており、その中でJリーグの他クラブに仕事体験をお願いして、違う考えや施策から学ぶことなどもしてきた。

 

自分達のクラブでは、ビジョン・ミッション・バリューにおいて、ミッション(使命/存在意義)に「人が育ち、クラブが育ち、街が育つ」を掲げるほど、「育成」を大事にしているクラブ。人が育つというのは、「自分自身」だと思っている。常に自分自身が成長し続けることで、クラブの成長につながり、街の成長につながると考えているため、自己の成長や新しい知識、学びの機会を得ようとSHCを受講した。

 

 

Q 『SHCスポーツビジネスマスターコース』での学びは何ですか?

経営者視点を身に着けることが第一目標だったが、自クラブしか知らない自分にとっては、他クラブの経営について知ることができること、事業計画の作成について実践的に習得できること、また他業種の皆様との交流によって、他から見たサッカー界を知ることができることが学びだった。

 

受講した「10期」は、コロナ禍にてオンライン受講となり、リアルに会う機会がないままの同期との交流ではあったが、大変印象に残っている。同期の受講生は、Jリーグの他クラブから参加している方もいたが、一般企業で働く方がほとんどで、その方々のビジネススキルの高さに圧倒され、衝撃を受けた。事業計画の作成においても、「質の高さと視野の広さ」が一般企業で働く方々の方が高いなと感じ、いかに自分達が狭い世界で生きているのかを改めて実感させられた。

 

これらより、自分自身が「経営者視点」を持たなければいけないという意識が高まり、SHCを受講する前よりも一段上の視点を獲得することができたと思う。

 

Q 『SHCスポーツビジネスマスターコース』で最も印象に残っている講義はどの講義ですか?

本間さんが最初の講義でおっしゃっていた「コンフォートゾーンから抜け出す」という言葉が印象に残っている。それを聞いた時、その必要性を自分の中で考え、「コンフォートゾーンは確かに居心地が良いが、そこから抜け出すことによって、新たな自分の成長に繋がる」のだと、気がつくことができた。この言葉が後々まで残っており、受講後も、社内メンバーの成長に置き換えても当てはまることだと、現在の組織マネジメントにおいても意識している。

 

 

Q 今後成し遂げたい、ご自身の目標は何ですか?

水戸ホーリーホックを魅力あるクラブにすること。「選ばれる」クラブになること。

「選ばれる」については二点要点があり、一つは、お客様から選ばれる。そのお客さまも法人・個人の二軸がある。法人は、営業目線で企業から「このクラブと一緒に、事業に取り組みたい」や、「このクラブを支援したい」と選ばれる。

個人からは、今現状も伸び悩んでいる観客数、同じ茨城県内に「鹿島アントラーズ」という魅力的なビッグクラブがある中で、そこに負けないくらい、選ばれるクラブにしていきたい。

 

もう一つは、「働く先として選ばれる」ということ。会社を作っていくのは「人」だと思っているので、水戸ホーリーホックを良いクラブにしていきたいという想いがあって、その想いを実現できるような人が集うクラブにしていきたいと考えている。

 

個人としては、サッカー界で働く女性の活躍の道筋を作ることに挑戦したい。世の中では、女性活躍社会が謳われているが、サッカー界はすごく遅れていると思う。女性役職者の少なさなど、課題が多い。男子サッカーだからと言って、女性スタッフが活躍できないとは思わないので、より優秀な人が良い環境で働ける場づくりを全クラブに伝播していきたいと考えている。

 

また、ビジネススタッフのキャリアプランのモデルケースとなることも意識している。水戸ホーリーホックでは、正社員と業務委託の契約社員という雇用契約の種類がある。その人の特性にもよるが、業務委託は職種が特化している方、正社員はさまざまな部署で活躍できるオールマイティな部分があると思う。将来どのようなキャリアが待っているのかなど、キャリアプランの道筋の構築も考えていきたい。

 

 

Q これからの『SHCスポーツビジネスマスターコース』受講生に一言メッセージをお願いします。/こういう魅力がある・こういう人にオススメなど

ご自身のお仕事が忙しい中での講義や課題で、両立が大変だと思いますが、受講中は後悔しないためにも妥協しない方が良いと思います。

SHCを受講する皆さんは志も高く、それぞれの分野での経験も豊富で、お話しするだけでも自分の成長に繋がると思います。積極的に活用することをお勧めします。