SHCスポーツビジネスマスターコースNEWS特別版_OBOGアンケートレポート

〜スポーツ業に関わる人/興味のある人―“生の声”―「スポーツの仕事は人の喜怒哀楽に触れる仕事」〜

 

公益財団法人スポーツヒューマンキャピタルでは、JHC/SHC参加者のスポーツ業界での就業状況、就業意向、および就業に伴う実感を知ることを目的に、JHC/SHC1期~15期 参加者 456名(回答人数132名)にアンケートを実施しました。

その一部をレポートとして公開させていただきます。

 

【設問:現在、スポーツ関連の仕事をしていますか】

「スポーツ組織の一員」として、スポーツ関連の仕事を本業としているOBOGが最多。

役割・担当業務は、広報、プロモーション、パートナー営業、チケット販促、ファンクラブ運営、イベント企画、コンプライアンス管理部門、海外戦略、人材開発、監督、ゼネラルマネージャー、ホームタウン推進、経営企画、事務、新規事業開発、スポーツ関連会社起業など多岐に渡っています。

「特定のスポーツクラブを対象として、クラブ経営の実像に迫り、さらにリアルな現実を深堀していくことで、クラブ経営の実態を広く、深く学んでいく」『SHCスポーツビジネスマスターコース』のコース設計も起因し、業務問わず、活躍しているOBOGを輩出しています。

「取引先がスポーツ組織」OBOGは、コンサルティングでの経営支援、デジタル関連の事業支援に就かれているとの回答が目立ちました。

一方、「兼業でのスポーツ関連の仕事」しているOBOGは、スポーツ組織の一員として事業開発を行なっている、取引先がスポーツ組織で映像配信、経営サポートを行なっているとの回答が見られました。

また、回答したOBOGの約4割は、「現在、スポーツの仕事をしていない」が、そのうち約8割が「本業・兼業でスポーツ関連の仕事をしたい」と希望。

その希望する役割・業務内容は、経営を司る分野が大半の回答を占め、「スポーツ経営者としての意志決定に関する基軸を獲得」という『SHCスポーツビジネスマスターコース』のコース目的に沿うものとなっています。

 

【設問:スポーツの仕事をしてよかったと思うこと】

「筋書きの無いエンタメによる喜怒哀楽の感情を生み出す」スポーツの価値/力を提供し、「地域やそこで暮らす人々の糧になっている」と直接的に実感できていることが多くの回答の根幹。

また、「多くのひとと関わり仕事ができること。非日常に身を置きながら、それを日常として毎日を過ごせること」という回答のように、仕事環境の刺激も「スポーツの仕事」の良さであるという回答が多く見られました。

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※一部抜粋

・クラブの存在が、地域やそこで暮らす人々の糧になっているという実感できる 。Jリーグから世界を目指して勝ち進んでいくという道筋が出来ており、みんなでACLやクラブワールドカップに向かって進んでいくという大きなモチベーションがクラブにも、ファン/サポーターにも、ホームタウンにも、強く浸透している。

・クラブで仕事をすることによって、様々な人達と知り合い、 繋がり合って、自分も周りの人も心豊かな人生を過ごすことができる

・人の喜怒哀楽に触れる仕事であること/人の人生に欠かせない瞬間を作り出せること

・お客様が喜んでいる姿を直に見られること やれることは無限にあるので、自分のやりたいことを上手く通すことができれば実現可能なこと

・サポーターの喜ぶ姿が見られたとき自チームが勝利したとき集客目標や売上目標が達成されたとき ホームタウン活動で参加者が喜んでくれたとき

・スポーツ(チーム、クラブ)から得る感動、チームメイトと分かち合う喜びや創り上げる達成感

・スポーツが生み出す感動を商材にできること

・スポーツに関われる喜びを、する側とは違った角度で感じられること。スポーツを通じ、社会に貢献 していける仕事に関われること

・スポーツの魅力そのものの創出や、地域創生に関われる。クラブほど直接的に関われないものの、最前線で覚悟を持って戦うクラブ社長と膝詰めで話せるところ、また頼りにされるところ

・スポーツを通して、自分の住んでいる地域課題の解決に携われること

・スポーツを通じて人々に楽しみを提供できること。人々に喜びの機会を提供できること

・ファンを中心とした多くの人に、筋書きの無いエンタメによる喜怒哀楽の感情が生まれ、人生をより 豊かにする一助になると感じられる事

・仕事の先にあるミッションや世界観に共感しやすいので、モチベーションを保ちやすい

・試合に勝った時のステークホルダーとの一体感

・自己成長の機会に恵まれる(一人に与えられる裁量と仕事の幅が広い、業界を取り巻く外部環境の変 化が早く常にインプットを求められる)

・自分が創出した経済的価値が、ピッチ上で表現されていく実感を持てること

・多くのひとと関わり仕事ができること。非日常に身を置きながら、それを日常として毎日を過ごせること

・地域貢献を肌で感じる

・得難い感動体験を生み出す渦の中心にあるという責任と実感。ファン、サポーターの感情とダイレクト向き合える喜び

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【設問:スポーツの仕事で困難を感じる場面】

上記でスポーツの仕事の魅力をOBOGが感じる一方、「スポーツの仕事で困難を感じる場面」という設問では、「好き」が故の業務量に見合わない給与、スポーツ組織独特の文化や体質に対する対応、組織としてのノウハウや知見の蓄積など、まだまだ仕事の環境で困難を感じる場面も多いという回答。

明確なキャリアパス/キャリアプランが描きづらいことが人材・組織の成長につながっていることもありそうな回答も見受けられます。

下記に挙げられている“生の声”が産業としてより成長していく、一皮剥ける課題であることを再認識する設問となりました。

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※一部抜粋

・「好き」が故の業務量に見合わない給与

・スポ根が残っていると仕事の成果やプロセスよりも、泥臭く汗をかいていること自体に評価があたりがちなところ、ワークライフバランスを取ろうとする価値観が低いこと

・定量化が難しく、ビジネスにおける価値換算が困難なこと

・労働条件が容易でない点、労働条件が理由で本人の意思とは別に業界から離れてしまうケースがある点 必ずしも合理的でない組織(経営能力、目線がない人が競技の実績をベースに経営にかかわるポジションに着いてしまうケース)がある

・クラブ自体は小さい組織なので、いろいろな仕事を多岐にわたって行わなくてはならず、休みや休息

も充分に取れず体力的にしんどいところ

・スポーツに対する価値観が多様であるので、様々な想定をする難しさはあると思います(そこが楽しいところでもありますが)

・スポーツを生業にする環境がまだ十分でない競技が多いこと(特に女子)

・スポーツ協賛が広告の一部だと思われていること。スポーツの機能的役割や価値を正しく理解し、活用して欲しい

・スポーツ組織独特の文化や体質に対する対応組織としてのノウハウや知見の蓄積給与面の待遇

・ミッションや世界観が先行しがちなので、そこで働く人やその人達の人生の豊さが犠牲になりやすい (低賃金、業務負荷、将来性不安など)

・やはりキャリアプランとして成立しない、賃金の問題、優秀な人材がいない

・華やかな舞台に見られる一方で、あまりにもそのイメージとかけ離れすぎている社会的ステータスの低さ(給与、労務環境など)

・古い組織風土、価値観、体質が根深いこと。関わる人のボランティア精神に依存し過ぎているところ。スポーツの価値が低いままであること

・昨今可処分時間の奪い合いでコンテンツが多様化しており、企業のスポーツコンテンツへの投資判断がシビアになっている事。大会の結果次第で大きく人気が左右される事

・社会的影響力の大きさに責任の重さを感じることがある

・土日の仕事が多いので、家族と過ごす時間、趣味の時間が減る

・日本においてはまだまだスポーツの商業的利用について理解度が少ない

・閉鎖的な人材登用(低い流動性/資金不足)によるプロフェッショナル人材の不足

・キャリアプランが描きづらい

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このアンケートでは、JHC/SHC参加者(OBOG)のスポーツ業界の就業状況のみならず、「就業に伴う実感」を知ることができました。

SHCでは、これからもスポーツビジネス、スポーツ組織の経営に貢献できる人材を輩出し続ける共に、「豊かなスポーツライフ実現」の壁となるリアルな現実・課題に目を向け、深堀したコース設計とその解決に貢献する人材育成/知的資産の集積に向け、邁進し続けます。

 

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【アンケート実施概要】

調査名称:「スポーツ業への関わり方」JHC/SHC参加者向けアンケート

調査目的:JHC/SHC参加者のスポーツ業界での就業状況、就業意向、および就業に伴う実感を知る

SHCのコミュニティ活動への要望、期待を知る

調査方法:インターネットリサーチ

回答時期:2022年 8月 30日(火)~ 2022年9月12日(月)

回答対象:JHC/SHC1期~15期参加者 456名

回答人数:132名(28.9%)