OBOGに、「コースでの学び」や「未来の受講生に一言メッセージ」などを聞き、本コースの魅力を発信する「OBOGインタビュー」。
今回は、「SHCカフェ」や「SHCホームカミングデー」に代表される、コース修了後もOBOGが集い、学び続けるSHCのコミュニティ「OBOG活動」について、取材しました。
Q まずはそれぞれのSHC時代に印象に残っている学びや受講して良かったことを教えてください。
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(栗原慎太郎さん|13期・現在はSHC事務局/コミュニティ運営担当)
大きく2つで、1つは、スポーツクラブの「経営者」として何が求められるのかについて、カリキュラムを通じて、考えられることができたこと。
具体的には、クラブの中期経営計画を策定し、それを「新しい取締役」の立場として、クラブの経営層にプレゼンするというプロセスで、スポーツビジネスは、マーケティング・集客・試合運営など各パーツがあるが、その全体を俯瞰し「経営者」として、リーダーシップについて考える機会となった。
2つ目は、一緒に13期を学んでいた「仲間と出会い」で、すごく良いものを得られたと思っている。
既に、スポーツクラブで働かれている方もいらっしゃれば、スポーツ業界以外で活躍されている方もいて、仕事の職種も様々な人がいる中で、みんなで「スポーツ経営者として何が求められるのか」について議論し、アウトプットとして中期経営計画を作っていくというのはすごく楽しかった。いま、印象に残っていることについて質問されたら、真っ先に「仲間の顔」を思い出した。
受講した良かったことは、経営者として考えなくてはいけないことを意識することができたこと。競技強化と事業のバランスや、時間軸として短期で追い求めているものと長期で追い求めていくもののバランスなど、そのバランスに対してどのように折り合いをつけるのかということを、実際にクラブの経営をされているレイヤーの方々にプレゼンし、フィードバックをいただけたのは、貴重な機会だった。
(辻川佳輝さん|4期・4期幹事)
栗原さんと重複するが、一番印象に残っているのは、クラブの事業責任者に対して直接プレゼンできる機会があったこと。私が受講した4期のときは、「大分トリニータ」・「栃木SC」へのプレゼン機会があり、机上の空論ではなくて、実際に採用されたプランもあった。
一般的なビジネススクールは、仮説をもとに提案というプロセスで学んでいくと思うが、SHCは実際に課題を抱えるスポーツクラブを題材に、実際のデータ、実態に基づいて、提案することができたのは学びとなった。
また、同じ講義を受けているはずの受講同期には、様々な考え方、切り口があり、同期からの学びも大きかった。多種多様な職種や経歴などのバックボーンを持つ同期の提案内容は、それぞれが違う角度の切り口で、非常に参考になった。
自分自身や周りの受講同期は、テレビの中でしかみなかった「Jリーグクラブ」に対して、直接何かを提案できることに、モチベーションが高かった。同じ想いを持った同期とプレゼンを考えたことは貴重な経験で、実際に採用してくれたクラブがあったことも印象深い。
4期は土日コースで3.4ヶ月間の開催で、あっという間で終わってしまった印象もあり、「この学びをこのひとときだけで終わらせたくない」という思いがあった。同期内でも、せっかくできた仲間とのこのつながりを途切れさせたくないという思いがあり、継続的に共に学んでいこうということで、OBOG活動の「読書会」創設につながった。
(高橋薫さん|1期)
一番大きかったのは、「ネットワーク」。SHC参加者は、私の周囲の人と比べると勉強するモードに大きな違い感じ、すごく刺激になった。
多様なビジネススクールがあると思うが、SHCは基本、スポーツを好きな人が集まっているのが一番大きい。私の場合、自クラブで困っていること、仕事の中で分からないことを同期のLINEグループで共有すると、そのテーマでおすすめの本を教えてもらえたりもした。
受講同期はレスポンスも早く、持っている知識も幅広い。そういう人たちと出会えたことが非常に大きな財産となっている。
Q 「OBOG活動」について、教えてください。
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(栗原さん)
SHCは、ミッションの一つとして、「築く=国内最高のスポーツ人材ネットワーク構築」を掲げている。整理すると、OBOG活動は、このミッションに通ずると思っている。
【SHCカフェ】
SHCカフェは、時節にあった特定のテーマをもって、そこに興味関心のある卒業生が集まり、「カフェ」のように参加者同士で議論、情報共有、意見交換する場として、コース修了後も学び続ける機会として設計している。
登壇者は、卒業生が中心であり、様々な活動をしているOBOGがいるので、SHC事務局からOBOGへお声がけ、もしくはOBOG自身から「SHCカフェ」でぜひ話をしたいという希望をいただき、「場」を創造している。
※22年度開催のSHCカフェ<テーマ:マルチオーナーシップ>
【読書会】
読書会は、辻川さんのお話にあった上述の通り、元々4期生から自然発生的に生まれ、期をまたぎ参加者を募って実施しているもの。
現在の取り組みは月1回位のペースで、課題図書を決め、その本を読んで来た上で参加し、関連するテーマを参加者同士で対話する場。
※リアルで開催した読書会<課題図書:キャプテン(川淵三郎著)
【観戦会】
観戦会は、スポーツ好きが多いSHCのOBOGのための企画。クラブ職員のOBOGから試合観戦に来てもらいたいとチケットの配布などがあり、その観戦機会を活用して、OBOGに呼びかけて一緒に大会や試合を見に行くもの。
※バスケットボールワールドカップ2023観戦ツアー
【SHCホームカミングデー】
SHCホームカミングデーは、年に1回開催している、SHCのOBOGが一堂に会する場。
期を超えた交流の場として、新しいスポーツビジネスの学びと共にお互いの活躍を知り、スポーツビジネスの課題などを語る場所として機能している。
直近開催の2022年のケースは、各期数名の幹事それぞれで、トークテーマを設定し、ブース運営を実施いただいた。トークセッション実施後、会の最後には、「懇親会」を設け、同期との久しぶりの再会、または、期をまたいだ交流の機会となっている。
※22年度ホームカミングデーDAZN様の講義と幹事による個別テーマ設定での討論会
【幹事会】
各期OBOGの中で、2,3名に各期で幹事に就任いだいている。その方々に月1回、SHC事務局と対話を設定し、集まっていただいている。
SHC事務局側で取り組んでいることの情報共有、または幹事主導の企画について、意見交換、情報共有を実施。幹事会の検討を通して、「読書会」のテーマや「観戦会」のアイデアを検討している。
Qなぜ「OBOG活動」が盛んなのか?SHC_OBOGの特徴
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(辻川さん)
「スポーツ」という括りで興味・関心が絞られているからこそだと思う。
一般のビジネススクールに通った経験もあるが、ビジネススクール修了後のネットワークはそこまで盛んではなく、飲み会は年に1回など開かれるが、共同で学ぶ「勉強会」というかたちまではいかないイメージ。
一方、SHCはスポーツという切り口が共通し、SHCのOBOGは本当にスポーツが好きで、「好きこそものの上手なれ」ではないが、向上心の高い方が多く、知識は時間が立つと、陳腐化するという認識を持ち、常にアップデートしないとついていけないということで、新しい情報を仕入れたい想い、意識があるのがこのような活動に繋がっていると思う。
(高橋さん)
SHCのOBOGは、前向きで自ら動くポジティブな人が多いのが理由だと思う。
受講から数年経った現在でも1年に1~2回飲み会などが開かれて交流している。
私の受講した期は、30人ほどで1年間講義を実施したので、深い関係値が築けていると思う。
(栗原さん)
事務局の立場としての「OBOG活動」の展望は、「期を超えたつながり」。
一定期間の学びを共にすることで、期の中ではある程度関係性を構築し卒業できると思うが、一方で期を超えたつながりは、コミュニティが必要だと考えている。そういった意味で、「読書会」はテーマ軸で集まれる場となり、また「SHCカフェ」は、いつでも誰でも受発信ができる場としていきたいと考えている。
SHCはOBOGが増えてきた中で、顔が見えづらい環境にもなってきていると思うので、「OBOG活動」を通して、少しでも知っている人が、期を超えて増えていくことに貢献できればと思っている。
Q 「OBOG活動」に参加してみての感想
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(高橋さん)
「SHCホームカミングデー」は、これまで全ての会に出席している。
Jクラブの職員として、SHC・スポーツ業界を盛り上げたいという意向で「義務」だとも思っている。
参加してみての感想は、その時々の時節にあったテーマが面白い。
例えば、1期の渡邉淳さんに登壇いただき、某クラブでの失敗談をお話しいただいた。好事例は、他のスポーツビジネスセミナーなどでも聞くことができると思うが、あまり上手くいかなかったこと、原因などを聞く機会は少ないと思う。やはりこのスポーツ業界も上手くいくことばかりではないのが実情なので、そのような話を聞くことできたことは非常に良かった。
(辻川さん)
「OBOG活動」を通して、スポーツを仕事として実際に取り組んでいる人の話は、テーマが違えど、「リアル」で聞いていて面白い。スポーツ組織で働きたい人にとっては有益な情報であり、その人脈を活用して、ビジネスを始めることができる。SHCは修了後も、学ぶだけでなく、動けるチャンスをつかめる場であることを痛感。「SHCホームカミングデー」は「学び」を超えて、インターネット上には掲載されていない「体験」を聞くことができる貴重な時間だと思う。
Q 修了後も学び続ける理由について、教えてください。
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(辻川さん)
講義で学んだことは、あくまでその時の話。スポーツ業界は当然、現在進行形であり、昨年と今年でも同じ状況ではない。この理由だけでも修了後も学び続ける理由は大いにあり、新しい情報を知りたいと考え、「OBOG活動」に参加している。
夢物語ではあるが、OBOGネットワークを活用して、一つのクラブをSHCのOBOGで経営してみたい。松本山雅FCは、「山雅」というサッカー好きが集まる喫茶店から名前をとり、はじまったように、サッカークラブは一から創設、経営ができる。そこには夢があり、OBOG内でクラブのオーナーになりたい人は、潜在的に多いはずなので、OBOGそれぞれから少しずつ出資して設立できたらと面白いと思う。
(高橋さん)
クラブの中にいると、学びの機会が少なく、日々の業務に追われるのが実情であり、自らインプットの機会を獲得しないと、進歩していかないと思っている。
そのような様々なインプットを自分で探すのは大変だと思うが、幸いにもSHCは一斉メールでOBOG活動・インプットの機会の案内がくる。学び続けたいクラブ職員にとって、SHCは非常にありがたい組織だと思う。
Q 未参加のOBOG・これからの『SHCスポーツビジネスマスターコース』受講生に一言メッセージをお願いします。/こういう魅力がある・こういう人にオススメなど
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(高橋さん)
SHCは、多種多様な人が持ち寄っているから成り立っている組織だと思う。
それぞれが持っているものを出し合えば、もっといろんなことができるし、可能性が広がると思う。
SHCのOBOGはスポーツを愛する仲間なので、そういった意味で気さくな集団。
伝えたいメッセージとしては、「一度参加してみてよ。プラスになることがあって楽しいから」。
(辻川さん)
「こういう人にオススメ」という観点で話すと、「スポーツをみる」ことだけでは満足できず、実際に動きたい人。OBOGには、受講後に、クラブの代表に就かれている方もいるので、まったく夢物語ではない。
(栗原さん)
未参加のOBOGに対してのメッセージとして、「SHCカフェ」「読書会」をはじめ「OBOG活動」は、気軽に参加できる場になっていると思う。
逆を言うと、SHCを卒業したOBOG「だからこそ」話せることが共有されている。
「OBOG活動」は、「皆さんのための場所」。
現在は幹事の力も借りて、定期開催ができるようになってきている。オンラインでも実施しているので、予定がないときに、少しでも覗きにきていただければ、初めての方との出会いも事務局や幹事がサポートしているし、もしかしたら同期と偶然会う「場」にもなれている。
「気軽」に顔を出していただければ、嬉しいなと思っている。